エドュアール・ドュニ・バルデュスの足跡
エドュアール・ドュニ・バルデュス(Edouard Denis Baldus、1813-1882)は、プロイセンのグリューネバッハで生まれました。画家としての訓練を受けた後、ドローイングとリトグラフ制作を経て、1849年に写真に転向。彼は風景、建築、そして特に鉄道写真の分野で活躍し、後世に大きな影響を与えました。
バルデュスの写真とそのプロジェクト
1851年、バルデュスはフランスの歴史的建造物委員会によるミッション・エリオグラフィークのために、パリの大通り建設のために取り壊される建造物の撮影を依頼されました。彼の高品質な作品は政府からの支援を受け、「Les Villes de France Photographiées」というプロジェクトを実施しました。このプロジェクトでは、パリと地方都市の建築ビューを拡張し、国のローマ時代と中世の過去への関心を喚起しました。
バルデュスの写真技術
バルデュスは、特にルーヴル美術館の建設記録を撮影するなど、フランス全土でその写真技術によって知られていました。彼は10×14インチの大型の湿式および乾式紙ネガティブを使用し、これらのネガからコンタクトプリントを作成しました。バルデュスは、複数のネガを組み合わせてパノラマ効果を生み出し、最大8フィートの長さの写真を制作しました。彼の技術革新と創造的なアプローチは、当時の写真技術の限界を超えるものでした。
おすすめの写真集
The Photographs of Edouard Baldus
- 特徴:この写真集は、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、カナダ建築センター(モントリオール)、フランス国立建造物博物館(パリ)で開催された展覧会に合わせて出版されました。19世紀フランスの写真家エドゥアール・バルデュスの作品が、トリトーンとデュオトーンの再現で紹介されています。バリー・バーグドールによる詳細なエッセイが付随し、バルデュスの美的感受性と、まだ実験的だった当時の写真メディアにおける技術的熟練度を浮き彫りにしています。彼の作品は、風景や建築写真の分野で先駆者とされていますが、これまでは専門家の間でのみよく知られていたものを、この展覧会と写真集が広く紹介します。
- 見どころ:バルデュスの写真集は、彼の時代をリードした風景および建築写真の傑作を収録しています。この写真集を通じて、バルデュスの視点と技術が、19世紀の写真芸術における彼の地位を明確にします。彼の写真は、細部にわたる繊細な表現力と、新しい技術の探求における先進性を示しており、写真愛好家や歴史に興味を持つ読者にとって、価値ある資料となるでしょう。美術館での展示と併せて、この写真集はバルデュスの作品を深く理解するための貴重な窓口となります。
バルデュスの遺産
バルデュスの仕事は、そのドキュメンタリー的な性質にも関わらず、カロタイププロセスの制約を克服するための革新的な手法を用いました。彼はネガを修正して建物や木を消したり、白い空に雲を描き入れたりしていました。アルルのサン・トロフィム修道院のクロイスターの合成プリントでは、10枚の異なるネガの断片を組み合わせ、内部空間のパノラマビューに焦点を合わせ、明るく照らされた中庭の詳細を再現しました。1889年、フランスのアルクイユで彼は亡くなりましたが、彼の影響と貢献は写真史において重要なものとして残り続けています。