色彩のマジック：エルンスト・ハースの写真芸術

特徴: 「Abstrakt」は、エルンスト・ハースが亡くなる1986年まで取り組んだ25分間の二重投影フィルムプロジェクトのために選ばれた写真のコレクションです。1952年から1984年までの彼のカラー写真のキャリアを網羅しており、鮮やかな色彩とテクスチャーで満ちた抽象作品が収められています。
見どころ: この写真集には、ストリートのデトリタスから破れたポスター、その他の見つけたオブジェクトまで、様々な抽象表現が含まれています。ハースは、このプロジェクトを写真における彼の仕事の集大成と考えていました。彼の写真は、ニューヨーク近代美術館での最初のカラー個展にも展示されました。
まとめ: 「Ernst Haas: Abstrakt」は、ハースのカラー写真の魅力を存分に体験できる一冊です。彼の独特な色彩感覚と抽象的なビジョンを通じて、視覚芸術の新しい地平を開拓した彼の業績を称える作品集と言えるでしょう。

2023年11月21日2024年3月20日

色彩を通じた表現の革新

エルンスト・ハース（Ernst Haas、1921年 – 1986年）は、カラー写真の先駆者として知られるオーストリア生まれの写真家です。彼の活動時代は、アンリ・カルティエ＝ブレッソンやロバート・キャパなど、黒白写真が主流だった時代で、ハースは色彩を使って写真表現の新たな地平を開きました。

カラー写真のパイオニア

ハースは、第二次世界大戦後に写真を始め、その才能で「ライフ」誌の注目を集めました。彼はスタッフ写真家の職を断り、1949年にロバート・キャパの招きでマグナムに加わりました。1950年代にはカラー写真の第一人者となり、1971年には「The Creation」で大きな成功を収めました。彼の同時代には、ウィリアム・クラインやソール・ライターなど、都市風景や日常生活を独自の視点で捉えた写真家が登場し始めていました。