ジェームズ・アンブローズ・カッティングの生涯
ジェームズ・アンブローズ・カッティング(James Ambrose Cutting、1814-1867)、ニューハンプシャー州の農場で貧しい生活を送りながら育ちました。彼は1842年に新型の養蜂箱を発明し、その特許を売却した資金でマサチューセッツ州ボストンへ移住しました。カッティングは写真家兼発明家として、特にアンブロタイプ写真プロセスの発明者として知られています。
アンブロタイプの開発
アンブロタイプは、湿式コロジオン法により感光させた磨き上げられたガラス板に、カメラを使用してネガティブ画像を生成する方法です。カッティングは1854年にこのプロセスに関する3つの特許を取得しました。彼の特許はコロジオンポジティブ自体ではなく、そのプロセスの改良に関するものでした。アンブロタイプは、1850年代半ばから1890年代まで人気を博しました。
写真技術への革新
カッティングの技術革新は、写真業界に大きな影響を与えました。彼の第三の特許は、完成したコロジオン画像をバルサムを用いてガラス層の下に封じ込める方法であり、これは「カッティング特許アンブロタイプ」として知られています。カッティングは、写真における物理的な制約を克服し、新しい表現の可能性を開いたことで評価されています。
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Chemical Pictures The Wet Plate Collodion Book
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写真への貢献とその後の人生
カッティングは、写真技術の発展において重要な役割を果たしました。彼はまた、ボストン水族館庭園の共同設立者としても知られています。しかし、彼の生涯は悲劇的に終わりました。水族館庭園が娯楽施設に転換されたことによる精神的な崩壊の後、1867年に精神病院で亡くなりました。彼の死は、ニューヨークタイムズで「発明家の死」として報じられ、写真史における彼の貢献は今日でも称賛されています。