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写真家大森克己、フリースタイルの探求者
大森克己(おおもり かつみ、1963年 – )は、兵庫県神戸市出身の写真家であり、1987年からフリーランスで活動を開始。彼の写真はジャンルを問わず、自由なスタイルで知られています。彼の作品は、日常の風景から国際的な風土まで多岐にわたり、その独自の視点が評価されています。
都市風景の新たな解釈: ホンマタカシのアートへの招待
ホンマタカシの人となり ホンマタカシ(1962 – )は、東京生まれの写真家です。彼は東京造形大学大学院で客員教授を務め、都市風景を主題にした独特の写真スタイルで知…
受賞歴と多彩な写真集
1994年、「GOOD TRIPS, BAD TRIPS」で写真新世紀優秀賞を受賞し、その後も多数の写真集を出版。特に「cherryblossoms」や「STARS AND STRIPES」などの作品が評価され、写真のみならず文章でも高く評価されています。2022年には初の文章のみの作品集『山の音』を出版しました。
35mmフィルムとデジタルのマエストロ
大森は特に35mmフィルムを使用した撮影を得意としており、その手法で個性的な表現を追求しています。彼の作品は、フィルムカメラの質感を生かし、被写体の真髄を捉えることで知られています。また、スマートフォンを使用した撮影も積極的に行い、新たな写真表現を模索しています。
おすすめの写真集
心眼 柳家権太楼
- 特徴:
「心眼 柳家権太楼」は、古典落語の名作『心眼』を題材にしたユニークな写真集です。写真家大森克己が、落語家柳家権太楼の一人舞台を撮影したこの作品は、伝統芸能と現代アートの境界を探る試みと言えます。白いスタジオ空間で繰り広げられる、権太楼師匠の表現力豊かな演技と、それを捉える大森氏の独自の視点が見事に融合しています。 - 見どころ:
この写真集の最大の見どころは、落語「心眼」の物語を通じて、「見る」という行為に焦点を当てた点にあります。視覚を失った主人公が、目が見えるようになった後の世界をどのように感じ取るのか、その心理が柳家権太楼の表情や仕草によって表現されています。大森克己のレンズから映し出される権太楼師匠の演じる一瞬一瞬が、視覚と非視覚の世界の境界を探る旅へと誘います。
Cherryblossoms チェリーブロッサムズ
- 特徴:
「Cherryblossoms チェリーブロッサムズ」は、桜という日本の象徴を斬新な方法で捉えた大森克己の写真集です。通常とは異なるタングステンタイプフィルムを使用し、桜のありふれた表現を避け、新たな光景を映し出しています。この技法により、青みがかった、幻想的で儚い桜の姿が、詩的な美しさを帯びて現れます。大森は桜の一瞬の美しさだけでなく、その瞬間の感覚や気配を捉えることに成功しています。 - 見どころ:
この写真集の最大の魅力は、桜の新しい表現に挑んだ点にあります。タングステンフィルムによる撮影は、桜の通常見られるピンクや白の色味を超え、神秘的な青い光の中で桜を映し出しています。その結果、ただ美しいだけでなく、桜のはかなさや移ろいやすさを際立たせています。大森克己の「写真とは何か」という探求は、この写真集を通じて「見る」という行為そのものへと深く問いかけています。この一冊は、写真の新たな可能性を追求する彼の現時点での到達点を示しています。
山の音
- 特徴:
『山の音』は、写真家大森克己による豊かな言葉の集積です。1997年から2022年にかけてのエッセイ、ノンフィクション、書評、映画評、詩、対談に加え、コロナ禍での日記を綴った464ページに及ぶ著作です。文中では、マドンナ、東日本大震災、ECD、家族のかたちなど、様々なテーマが織り交ぜられており、時代の空気を言葉で切り取った圧巻の内容となっています。大森自身の生活と感情が綴られることで、読者は彼の世界観を深く感じ取ることができます。 - 見どころ:
この書籍の魅力は、大森克己が言葉を通じて見せる、写真以外の表現力にあります。特に彼の日記は、日常のささいな出来事から世界的な出来事まで幅広くカバーし、彼の思考の軌跡を追うことができる貴重な記録です。読者は「写真が上手いって、なんだ?」などのセクションを通じて、大森が写真とどう向き合うか、その哲学を理解する手がかりを得ることができます。また、各章は独立したストーリーを持ちながらも、大森の人生と密接に関連しているため、彼の人生観や価値観を深く知ることができます。
写真界への多大な影響
森の作品は、ロバート・フランクやピーター・リンドバーグなど、多くの著名な写真家に影響を受けています。彼自身も後進の写真家に多大な影響を与えており、写真教育やワークショップを通じて若手の育成にも尽力しています。彼の写真集はリトルモアやマッチアンドカンパニーなど著名な出版社から発売され、写真界における彼の貢献は計り知れません。
アメリカを映す鏡:ロバート・フランクの視覚詩
アメリカ社会を映し出す ロバート・フランク(Robert Frank、1924年 – 2019年)は、アメリカ社会のリアルな断片を捉えたスイス出身の写真家です。彼の活動時代は、ウィ…