写真家・佐内正史の軌跡
静岡県静岡市で生まれた佐内正史(さない まさふみ、1968年 – )は、24歳の時に写真を始め、以降、写真家としてのキャリアを積み重ねてきました。1995年には第12回キヤノン写真新世紀優秀賞を受賞し、1997年には写真集『生きている』でデビュー。この作品で広く名を知られるようになりました。2002年には『MAP』で第28回木村伊兵衛写真賞を受賞し、その才能をさらに確固たるものとしました。また、映像分野でも活動を展開し、映画『ジョゼと虎と魚たち』で劇中写真を担当するなど、その多才ぶりを見せつけています。音楽界とも関わりが深く、ロックバンドくるりのアルバムジャケット写真も手掛けるなど、ジャンルを超えた創作活動が特徴です。
レーベル『対照』とそのパラドックス
2008年に設立された佐内正史の自主写真集レーベル「対照」は、その名が示す「コントラスト」という言葉とは裏腹に、意図的に曖昧ではっきりしない写真集を次々と発表しています。このアプローチは、明確さを期待されがちな写真の概念に挑戦し、独特のコントラストを作り出しています。代表作には『浮浪』、『DUST』、そして『写真の体毛』があり、これらの作品を通じて写真というメディアの新たな可能性を探り続けています。
佐内正史の撮影テクニック
佐内正史はPENTAX67や35mmのPENTAX MZ-3を愛用し、写真技術だけでなく、その哲学的アプローチで知られています。彼の作品は、自身が「写真に明け渡している」と表現するほど、主体性を写真に託しており、観る者に深い印象を与えます。また、彼は映画『ジョゼと虎と魚たち』で劇中写真を担当するなど、映像分野でも活動しています。
おすすめの詩集
人に聞いた
- 特徴:
『佐内正史詩集 人に聞いた』は、人気写真家・佐内正史が初めて手掛けた詩集です。写真家としての鋭い感性を詩に転化し、52編の詩を「光をけずる」という独自の表現で綴っています。この詩集では、言葉を通じて視覚に訴える新たなアートフォームを展開しており、読者に新鮮な感動を提供します。 - 見どころ:
この詩集の大きな見どころは、佐内正史による5葉の撮り下ろし写真が詩と共に収められている点です。各詩にマッチしたビジュアルイメージは、詩の解釈を深めると同時に、視覚的な豊かさをもたらします。撮影者としての佐内の眼差しが、言葉と共にどのように表現されているかを堪能できる一冊です。
文化への貢献と共鳴
佐内正史は写真集だけでなく、CMやテレビドラマ、映画といった様々なメディアで影響力を広げています。また、音楽界とも深い関連があり、くるりや中村一義のアルバムジャケットを手がけるなど、写真を通じた文化的交流が特徴です。彼の作品は、写真というメディアの枠を超えて、多方面にわたる創造活動へとつながっています。