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レバノンの革命と再生を捉えた写真家、ミリアム・ブーロス

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レバノンの声を写し出す写真家、ミリアム・ブーロス

ミリアム・ブーロス(Myriam Boulos, 1992年生まれ)は、ベイルート出身のドキュメンタリー写真家でありアーティストです。16歳でカメラを手にした彼女は、現実に近づく手段として写真を選びました。2015年にレバノン美術学院で写真学の修士号を取得し、その後、国内外の数々の展覧会に参加。『Vogue』や『Time』、『Vanity Fair』などの国際的な出版物にも作品が掲載されています。ブーロスは、ベイルートを拠点とする双言語のフェミニスト雑誌『Al Hayya』の共同創設者であり、写真編集者も務めています。また、2021年には著名な写真家集団「マグナム・フォト」のノミネートメンバーに選ばれました。

革命を記録し続けるカメラの目

ミリアム・ブーロスは、レバノンの2019年の抗議活動や2020年のベイルート港爆発の報道で知られ、その作品は『Time』の2020年のベストポートレートに選ばれています。彼女の代表的なシリーズには『Tenderness』や『Dead End』、『Douce Virilite』などがあり、公共空間での人々の感情と身体性を巧みに捉えています。これまでに、パリ、アムステルダム、ワシントンD.C.、ニューヨークなどの都市で開催された展覧会に参加し、国際的な注目を集めています。また、2023年に出版された初の写真集『What’s Ours』では、レバノン社会の革命と再生の様子を独自の視点で描き、強烈なインパクトを与えています。

情熱と直感で捉えるリアル

ブーロスの写真スタイルは、被写体との深い関係性と瞬時に捉えた直感に基づいています。彼女は「自分の執着に対処するために、写真を撮るしかない」と語り、その言葉通り、作品には彼女自身の内面的な葛藤と情熱が映し出されています。特に、レバノンの政治的不安や社会的な問題を扱った作品では、被写体の親密な瞬間と社会の厳しい現実が融合しています。写真家としての彼女の専門スキルは、単に技術的な要素にとどまらず、社会の真実を伝える力にあります。これにより、彼女の作品は国内外で高い評価を受けています。

おすすめの写真集

Myriam Boulos: What’s Ours

  • 特徴:
    『What’s Ours』は、マグナムの候補者であるミリアム・ブーロス(Myriam Boulos, ミリアム・ブーロス)が描く、革命下のレバノン社会と都市の姿を記録した写真集です。2019年の政府の腐敗と緊縮政策に対する抗議から始まり、2020年のベイルート港爆発の余波に至るまで、ブーロスは友人や家族をエネルギッシュかつ親密に写し出しています。公共空間での身体を「国家の無視と暴力に対する力強いモチーフ」として捉え、日常の快楽と抗議を繊細に描きます。ブーロスの写真には、彼女自身の「必要に迫られた表現」の衝動が反映されています。
  • 見どころ:
    『What’s Ours』の見どころは、レバノンの社会的不安と人々の反発を強烈に表現したブーロスの視点です。写真には、生々しくも儚い身体の存在が映し出され、国家による無視と暴力に対する抗議の場面が強調されています。また、モナ・エルタハウィによる文脈的なエッセイが収録され、写真の背景と意味が深く掘り下げられています。ブーロスの作品は、革命の瞬間と人々の感情を余すことなく捉え、現代のレバノン社会に対する鋭い洞察を提供しています。

次世代へ受け継がれる視点とメッセージ

ミリアム・ブーロスの影響は、彼女の写真を通じて次世代のアーティストや活動家に広がっています。彼女は、レバノンの社会問題を視覚的に記録するだけでなく、ジェンダーやアイデンティティに関する対話を促進する役割も果たしています。また、彼女の作品は『Al Hayya』を通じて、地域の女性たちの声や闘いを表現し、共感を呼んでいます。ブーロスの活動は、他の写真家やアーティストにも影響を与えており、特に同時代のレバノンのアーティストであるイラストレーターのミシェル・スタンジョフスキや心理学者のローラ=ジョイ・ブーロスとの共同プロジェクト「The Gemini Collective」など、コラボレーションによる新たな表現の可能性を模索しています。彼女の写真は、単なる芸術の枠を超え、社会へのメッセージとして次世代に継承され続けるでしょう。

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この記事を書いた人

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