独自の経歴から芸術への転換
金村修(かねむら おさむ、1964年3月29日生まれ)は、東京都出身の写真家です。不遇の学生時代を経て、25歳でイメージフォーラム映像研究所に進学し、映像制作と写真技術を学びました。バンド活動やアダルトビデオの撮影アルバイトを経て、本格的に写真の道を歩み始めます。鈴木清や渡辺兼人から影響を受け、特に都市風景のモノクロ撮影に情熱を傾けるようになりました。
国内外での評価と受賞
金村は、1992年から国内外で多数の個展とグループ展に参加し、特に1997年には日本写真協会新人賞と東川賞新人作家賞を受賞しました。2000年には若干36歳で土門拳賞を受賞するなど、その批評性の高い作品が注目されています。2014年には伊奈信男賞を受賞し、写真家としての地位を不動のものとしました。
銀塩とデジタルの融合
金村は、長年にわたり銀塩フィルムを用いたモノクロ撮影にこだわり続けましたが、2013年にデジタルカメラへと手を広げることで新たな表現の幅を拡げています。彼の作品は、技術的な「不完全さ」を含む独自のスタイルが特徴で、これが彼の写真に深みとリアリティをもたらしています。デジタルと銀塩の技術を併用することで、彼の作品は更なる表現力を獲得しました。
おすすめの写真集
エクトプラズム プロファイリング
- 特徴:
金村修は、銀塩フィルムにこだわり、都市のモノクローム風景を長年にわたって追い求めてきた写真家です。彼の作品は、現像ムラや画面上の傷など、技術的な「不完全さ」を敢えて抱き合わせることで、都市の断片をよりリアルで生の形で捉えています。これらの技術は、単なる視覚的表現を超え、それぞれの写真に深い物語性と感情を宿しています。2014年にはその高い批評性で伊奈信男賞を受賞しており、彼のアプローチは多くの批評家からも支持されています。 - 見どころ:
金村修は、2013年に初めてデジタルカメラを手にし、その後、デジタル写真撮影にも積極的に取り組むようになりました。彼のデジタルカメラでの挑戦は、新たな表現の可能性を追求し、撮影された数万カットの中から選ばれた158カットを含む初のデジタルカラー写真集に結実しました。この写真集では、デジタル撮影における彼の視点や、フィルムとデジタルの間で揺れ動く芸術性が垣間見えます。都市の生々しい瞬間を捉えたこれらの写真は、現代社会における写真の役割や価値について再考させる力を持っています。
写真界への足跡
金村の写真は、後進の教育にも熱心に取り組む彼の姿勢とともに、多くの写真家に影響を与えています。特に、渡辺兼人や春日昌昭の影響を受け、独自の都市風景の表現を追求してきた金村は、日本カメラでの連載やワークショップの開催を通じて、写真表現の可能性を広げるための努力を惜しまない人物です。彼の批判的な目と表現力は、写真界における教育的な役割も果たしています。