ガーディアン・ガーデンと『ひとつぼ展』『1_WALL』

はじめに

ガーディアン・ガーデン（Guardian Garden）は、東京都中央区銀座に位置するギャラリーです。株式会社リクルートが1990年12月に渋谷区にオープンし、1993年5月に銀座へと移転しました。このギャラリーは、若いクリエーターの支援を目的としたメセナ活動の一環として設立されました。

リクルートが運営するもう一つのギャラリー、クリエイションギャラリーG8と共に、ビジュアルコミュニケーションをテーマに掲げています。クリエイションギャラリーG8が著名な作家を取り上げる一方で、ガーディアン・ガーデンは公募展を開催し、若手クリエイターの活動を支援しています。

『ひとつぼ展』の始まりと意義

『ひとつぼ展』は、ガーディアン・ガーデンでの個展開催を最終目的とした二次審査制の公募展であり、1992年から2008年まで開催されました。初期の段階では、グラフィックアートと写真の2部門に分かれ、年2回のペースで開催されていました。応募者はまずポートフォリオによる一次審査を通過し、選ばれた10名が一坪（1.82×1.82m）のスペースで作品を展示します。その後、公開審査会で最終プレゼンテーションを行い、グランプリが決定されます。

この公募展の特徴は、公開審査会で審査員や観客を前に直接対話しながら評価される点です。これにより、クリエイターは自身の作品に対するフィードバックを直接受け取ることができ、今後の創作活動に役立てることができます。また、審査員には各界の第一線で活躍するプロフェッショナルが参加し、多角的な視点で評価が行われます。

『ひとつぼ展』から『1_WALL』へ

2009年に『ひとつぼ展』は『1_WALL（ワン ウォール）』として生まれ変わりました。このリニューアルは、表現がますます多様化する中で、より多くの新しい表現を追求する場を提供するためのものでした。『1_WALL』では、グラフィック部門と写真部門の2部門が設けられ、テーマや手法は自由であり、年2回開催されます。応募料も無料で、多くの若手クリエイターに門戸が開かれています。

『1_WALL』は、「新しい表現を追求し続ける若い才能を発掘すること」を目的とし、2009年から始まりました。25回の開催を経て、270名のファイナリストが展示を行い、46名がグランプリを受賞しました。これらの受賞者は、個展開催の機会を得るなど、若手アーティストにとって貴重な表現の場を提供してきました。

『1_WALL』の意義と影響

『1_WALL』は、クリエイターが自身の作品と真剣に向き合い、何度も挑戦する場を提供します。この過程で得られるフィードバックや経験は、クリエイターの成長にとって非常に貴重です。また、グランプリ受賞者はガーディアン・ガーデンでの個展開催とパンフレット制作の権利を獲得し、自身のキャリアを大きく飛躍させるチャンスを得ることができます。

これまでの『ひとつぼ展』および『1_WALL』からは、多くの有名な若手写真家やグラフィックデザイナーが輩出されており、その中には現在も各界で活躍しているクリエイターが多数存在します。例えば、写真界では『ひとつぼ展』および『1_WALL』から多くの著名な写真家が誕生し、彼らの作品は国内外で高い評価を受けています。特に『1_WALL』は、キヤノンの「写真新世紀」と並び、若手写真家の登竜門として知られています。

『1_WALL』の終了とその後

株式会社リクルートホールディングスが運営するガーディアン・ガーデンは、第25回をもって『1_WALL』の開催を終了することを発表しました。この終了により、『1_WALL』は2009年の開始から多くの若手クリエイターに表現の機会を提供し、その活動を支援してきた歴史に幕を閉じることとなります。しかし、『1_WALL』に参加した多くのクリエイターは現在も各界で活躍を続けており、その影響力は今後も続くでしょう。

まとめ

ガーディアン・ガーデンの『ひとつぼ展』および『1_WALL』は、若手クリエイターにとって重要な登竜門として機能してきました。これらの公募展は、クリエイターが自身の作品と向き合い、成長する場を提供すると共に、新しい才能の発掘と支援を続けています。『ひとつぼ展』から『1_WALL』への進化は、時代の変化に対応し、より多様な表現を受け入れる姿勢を示しています。今後もガーディアン・ガーデンは、若いクリエイターたちの夢をサポートし続けるでしょう。

歴代受賞者