イントロダクション
「ニュー・トポグラフィックス」展は、8人の若手アメリカ人写真家とドイツの夫妻、ベルントとヒラ・ベッヒャーをフィーチャーしました。これらの写真家たちは、ロバート・アダムス(Robert Adams)、ルイス・バルツ(Lewis Baltz)、ジョー・ディール(Joe Deal)、フランク・ゴールケ(Frank Gohlke)、ニコラス・ニクソン(Nicholas Nixon)、ジョン・ショット(John Schott)、スティーブン・ショア(Stephen Shore)、ヘンリー・ウェッセル・ジュニア(Henry Wessel Jr.)です。彼らは、自然な風景と戦後アメリカのありふれた構造物との間の緊張を捉え、アメリカの建造された景観を記録しました。
写真のスタイルと技術
ニュー・トポグラフィックスの写真は、荒涼としたドキュメンタリースタイルで撮影され、しばしば人間の存在が排除されています。ジェンキンスは、これらの画像を「中立的な」スタイルと説明し、「大量の視覚情報を伝えるが、美、感情、意見の側面を完全に避ける」と述べています。写真家たちの半分が8インチ×10インチの大判ビューカメラを使用し、その他はスクエア・ミディアムフォーマットや35mmの高解像度フィルムを使用していました。
「トポグラフィックス」の意味
「トポグラフィックス」という言葉は、ギリシア語の「トポス(topos:場所)」と「グラフィックス(graphics:描写)」から成る言葉です。この言葉は、自然美や情感など「風景写真」にまとわりついたさまざまな伝統的概念を回避し、表現の方法論への問いかけを含むものです。ニュー・トポグラフィックスは、旧来の風景の概念を棚上げにして、「場」と写真表現の関係を改めて問いかけ、新たな表現の可能性を切り拓く姿勢を示しています。
展示の影響と後世への展開
この展示は、エドワード・ルシェの作品やコンセプチュアル・アート運動にインスピレーションを受け、アンセル・アダムスやマイナー・ホワイトなどの先行する世代からの変化を示しました。展示は、アメリカ社会がどうなっているかについて皮肉的または批判的な目で見るという姿勢を通じて、変化の中にある都市や郊外の現実を描いています。1975年のオリジナル展示から始まり、国際ツアーを経て、ロンドン、ロサンゼルス、ロッテルダム、ビルバオなど世界各地で再現されました。
おすすめの写真集
Stephen Shore: Uncommon Places: The Complete Works
- 特徴:
スティーブン・ショアの『Uncommon Places: The Complete Works』は、1982年に初版が公開されて以来、写真家世代に多大な影響を与えてきました。この作品集は、広告やファッション写真の領域を超えてカラー写真を用いた最初期のアーティストの一人として、アメリカの日常風景に対する大判カラー作品で知られています。ニュー・トポグラフィックスの流れを汲む彼の作品は、ありふれたアメリカの風景を新たな視点で捉え直し、風景写真における「場」と表現の関係を再定義しました。クリティックやキュレーターであるステファン・シュミット=ウルフェンのエッセイや、フィクションライターのリン・ティルマンによるショアとの対話は、彼の方法論を掘り下げ、1960年代後半から70年代初頭のポップアートやコンセプチュアルアート運動に根ざしていることを解説しています。 - 見どころ:
『Uncommon Places: The Complete Works』は、スティーブン・ショアがアメリカ各地を巡り、一見どこにでもあるような風景を独自の色彩感覚と構図で撮影した作品集です。ニュー・トポグラフィックスを代表する一冊として、ショアの作品は、商業的な撮影技術を超えて日常の風景に新たな命を吹き込みます。特に、郊外の住宅地、ガソリンスタンド、モーテルなどの普通の場所が、彼のレンズを通して見ると、非日常的な美しさを帯び、アメリカの文化的および社会的な文脈を浮かび上がらせます。また、彼の作品は、ニュー・トポグラフィックスの流れを象徴するものであり、写真における風景の捉え方に革命をもたらした点で、写真史において重要な位置を占めています。
まとめ
「ニュー・トポグラフィックス」展は、写真における「場」と表現の新たな関係を問いかけ、風景を美学的対象ではなく、人間的関心の現れの場として捉える視点を提示しました。この展示は、写真史における重要な転換点となり、その後の多くの写真家に影響を与え続けています。現代写真におけるこの動向は、ただ美しい風景を捉えるのではなく、それが存在する文化的および社会的文脈を理解しようとする試みです。ニュー・トポグラフィックスは、写真を通じて私たちの世界を見つめ直すきっかけを提供し、その意義は今後も多くの写真家やアートの愛好家に語り継がれるでしょう。