はじめに
キヤノンが主催する文化支援プロジェクト「写真新世紀」は、1991年にスタートし、2021年までの30年間、新人写真家の発掘・育成・支援を目的として多くの才能を世に送り出してきました。今回は、この「写真新世紀」の歴史とその意義、そして新たなプロジェクト「GRAPHGATE」について紹介します。
「写真新世紀」とは?
「写真新世紀」は、写真表現の可能性に挑戦する新人写真家を対象にした公募コンテストで、形式やサイズ、年齢、国籍などを問わず、幅広い応募者を受け入れてきました。30年間で44回の公募審査会を実施し、合計1,126組の受賞者を輩出しました。このプロジェクトは、新しい写真表現の可能性を引き出し、次世代のクリエイターを発掘することを目指してきました。
発足の背景
1990年代初頭は、企業メセナ(企業の文化支援活動)が非常に盛んな時期でした。キヤノンもその一環として写真プロジェクトを検討しており、写真評論家の飯沢耕太郎氏に相談。飯沢氏は当時、写真に関する季刊雑誌「deja-vu」を手掛けていたこともあり、キヤノンに助言することで「写真新世紀」が誕生しました。
審査員の選定
初期の審査員には、飯沢耕太郎氏に加えて、彼と親交のあった荒木経惟氏、そして写真の枠を超えたアートの要素を取り入れるために南條史生氏が選ばれました。これにより、「写真新世紀」は写真だけでなく、広範な芸術表現を奨励するコンテストとしてスタートしました。
歴史と功績
「写真新世紀」は、国内外の著名な写真家や評論家、アーティストの協力を得て、厳正な審査を行ってきました。これにより、優れた作品と才能を見出し、HIROMIX、蜷川実花、佐内正史や奥山由之などの著名な写真家を輩出してきました。
一時期、「写真新世紀」の受賞者が木村伊兵衛写真賞を受賞する流れがあり、このコンテストはまさに写真界の登竜門として注目されていました。特に、デジタルカメラの普及により写真撮影が身近なものとなった現代において、「写真新世紀」は写真表現の幅を広げる重要な役割を果たしてきました。
まとめ
「写真新世紀」は、30年間にわたり新人写真家の発掘・育成・支援を続け、写真表現の可能性を広げる重要な役割を果たしてきました。今後もキヤノンの新プロジェクト「GRAPHGATE」を通じて、新たな才能が次々と発掘されることでしょう。写真に興味を持つ全ての方々にとって、「写真新世紀」の歴史とその後継プロジェクトは大いに注目すべきものです。
未来の展望:新プロジェクト「GRAPHGATE」
2021年の公募終了を機に、「写真新世紀」の精神を引き継ぐ新たなプロジェクト「GRAPHGATE」が開始されました。このオーディションは、新しい写真・映像作家を発掘し、育成・支援することを目的としています。応募は2023年4月から開始され、今後も写真文化の発展に寄与することが期待されています。
歴代受賞者
第1回(1992年)〜第9回(年)
回 | 年度 | 受賞者 | 受賞作品 | 選考委員 | 候補者 |
---|---|---|---|---|---|
第10回(年)〜第19回(年)
回 | 年度 | 受賞者 | 受賞作品 | 選考委員 | 候補者 |
---|---|---|---|---|---|
第20回(年)〜第29回(年)
回 | 年度 | 受賞者 | 受賞作品 | 選考委員 | 候補者 |
---|---|---|---|---|---|
第30回(年)〜第39回(年)
回 | 年度 | 受賞者 | 受賞作品 | 選考委員 | 候補者 |
---|---|---|---|---|---|
第40回(年)〜第44回(年)
回 | 年度 | 受賞者 | 受賞作品 | 選考委員 | 候補者 |
---|---|---|---|---|---|