キャリー・メイ・ウィームズの生い立ちと背景
キャリー・メイ・ウィームズ（1953年生まれ）は、アメリカのポートランド、オレゴンで生まれ育ちました。彼女はサンフランシスコで現代舞踊を学び、政治活動家としても活動しました。21歳の誕生日に初めてカメラを手に入れ、それを政治的な目的で使用するようになりました。その後、視覚芸術の道に進み、28歳で学士号を、31歳で美術修士号を取得しました。彼女の初期の代表作「Family Pictures and Stories」（1978年）は、彼女の友人や親族を撮影したシリーズで、家族関係や文化的アイデンティティに焦点を当てています。現在はニューヨーク州シラキュースに在住し、数々の賞やフェローシップを受賞しています。
輝かしいキャリアと受賞歴
キャリー・メイ・ウィームズは、2023年にハッセルブラッド賞を受賞し、その業績が再び注目されています。彼女の作品は、家族、レース、ジェンダー、階級、権力の影響を探求しており、写真、テキスト、ビデオ、インスタレーションなど多岐にわたるメディアを駆使しています。ウィームズはニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ロサンゼルス現代美術館、ロンドンのテート・モダンなど、世界中の主要な美術館に作品が収蔵されています。2013年にはマッカーサー・フェローを受賞し、翌年にはグッゲンハイム美術館で初の黒人女性による回顧展が開催されました。
多才なアプローチと作品の奥深さ
ウィームズの作品は、その多面的なアプローチと深い人間理解に基づいています。彼女は自身の写真作品にしばしば自身を登場させ、歴史的な文脈だけでなく、時代を超えたテーマを扱っています。代表作「Kitchen Table Series」（1990年）は、キッチンという親密な空間で展開される女性の生活を描いており、普遍的な女性像を通じて自己認識や感情の複雑さを表現しています。また、「From Here I Saw What Happened and I Cried」（1995-96年）では、エスノグラフィックな表象の視覚的暴力をテーマに、アーカイブ画像を基にした作品を制作しています。彼女の多岐にわたるスキルは、視覚芸術の新たな可能性を探求し続けています。
おすすめの写真集
Carrie Mae Weems: Kitchen Table Series
- 特徴：
「Kitchen Table Series」は、アメリカのアーティスト、キャリー・メイ・ウィームズによる初期かつ重要な作品群に初めて焦点を当てた出版物です。20枚の写真と14枚のテキストパネルで構成されるこのシリーズは、女性の人生を描いており、その舞台は家庭の主要な場所であるキッチンです。ウィームズは、恋人、子供、友人との関係や、強さ、脆さ、孤独、優しさなど、さまざまな感情や自己認識を通して、女性の物語を紡いでいます。この作品は、家庭内の闘い、モノガミー、男女間の闘争などを描いており、女性や有色人種の可能性を再位置づけ、再想像することを目指しています。 - 見どころ：
このシリーズの見どころは、ウィームズ自身が主人公として登場し、普遍的な女性像を描いている点です。キッチンという親密な空間で繰り広げられる物語は、見る者に家庭の中での女性の役割や関係性の複雑さを感じさせます。また、シリーズ全体を通して感じられる「報われない愛」のテーマは、誰もが共感できる普遍的なものです。
さらに、この作品はウィームズの他の作品同様に、写真、テキスト、音声、デジタル画像、インスタレーション、ビデオなど多様なメディアを駆使しており、その多面的なアプローチが芸術的価値を高めています。ウィームズの複雑な芸術世界を理解するための必見の作品です。
Carrie Mae Weems: A Great Turn in the Possible
- 特徴：
Carrie Mae Weemsは40年以上にわたり、家族、レース、ジェンダー、性差別、階級、そして権力の影響について探求してきた、アメリカを代表するアーティストです。その作品は、写真、布、テキスト、音声、デジタル画像、インスタレーション、ビデオなど多岐にわたり、常に時代を先取りし、多くの若手アーティストに影響を与えています。本書は、彼女の初期のシリーズ「Family Pictures and Stories」や、家庭内の設定で自身を撮影した伝説的な「Kitchen Table Series」など、40年にわたる作品を網羅する最も包括的な調査です。ニューヨーク・タイムズのHolland Cotterは、Weemsを「卓越したイメージメーカーであり、道徳的な力」と評しています。 - 見どころ：
この書籍は、Weemsの作品を最も詳細に紹介する一冊です。注目すべきは、彼女の多様な作品を網羅し、各シリーズの背景や影響を理解するためのエッセイや年表が含まれている点です。特に、Weems自身によるビジュアルエッセイは、彼女の視点から作品を紹介するもので、非常に貴重です。また、書籍に関連した展覧会は、バルセロナとシュトゥットガルトで開催され、Weemsの芸術が持つ影響力とその重要性を再確認する良い機会となっています。この書籍は、アート愛好家や学生にとって必読の一冊です。
Dawoud Bey & Carrie Mae Weems: In Dialogue
- 特徴：
「Dawoud Bey & Carrie Mae Weems: In Dialogue」は、アメリカを代表する2人のフォトアーティスト、ドーウッド・ベイとキャリー・メイ・ウィームズの作品を一堂に集めた貴重な書籍です。1970年代から2010年代にかけて制作された140点以上の写真とビデオアートが収録されており、レース、階級、権力に関するテーマを探求する両者の独自のビジョンと歩みが紹介されています。1970年代末にニューヨークで出会って以来、二人は互いに刺激を与え合いながら、レース、階級、表象、権力のシステムといった共通のテーマを探求してきました。本書は、これらのテーマに基づいて5つのグループに作品を分け、それぞれの創造的な軌跡と共通の関心を明らかにします。 - 見どころ：
この書籍の見どころは、2人のアーティストの対話的な作品群が一冊に収められている点です。ドーウッド・ベイは、1979年にハーレムのスタジオ美術館で初めての展示を行って以来、国際的に高い評価を受けており、彼の作品はサンフランシスコ近代美術館、ホイットニー美術館、シカゴ美術館、テート・モダンなどで展示されています。彼の著書「Dawoud Bey: Seeing Deeply」や「Dawoud Bey on Photographing People and Communities」では、彼自身や他者の作品についての執筆が収められています。
一方、キャリー・メイ・ウィームズは、「Kitchen Table Series」などの作品で知られ、権力、階級、ブラックアイデンティティ、女性性、歴史的過去とその現在への響きといったテーマを探求しています。彼女の作品は写真だけでなく、ビデオ、パフォーマンス、公共アート作品など多岐にわたり、フリスト・センター、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館、アンダルシア現代美術センター、アメリカン・アカデミー・イン・ローマなどで展示されています。
芸術を通じた社会変革の力
ウィームズは、若い女性写真家を含む多くのアーティストに影響を与え続けています。彼女の作品は、レース、ジェンダー、権力の問題に対する鋭い視点と、歴史的および現代的な社会問題への深い洞察力を提供しています。彼女はシラキュース大学で写真を教えるだけでなく、デボラ・ウィリスやドーウッド・ベイ、ロニー・グラハムと共に「Social Studies 101」を設立し、反暴力キャンペーン「Operation Activate」（2011年）を開始しました。2020年には、COVID-19パンデミックの影響を受けたブラック、ブラウン、先住民コミュニティへの感謝を示すための公共アートキャンペーン「Resist COVID Take 6!」を主導しました。彼女の活動は、アートを通じて社会に変革をもたらす力を持っています。
