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「風景からフェティシズムまで、須田一政の挑戦」- 写真集で辿る旅

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演劇から日常まで、瞬間を捉えた写真家

須田一政(すだ いっせい、1940-2019)は、東京都神田生まれの著名な写真家で、寺山修司が主宰する演劇実験室「天井桟敷」の専属カメラマンとして活動した後、1971年からフリーランスでの道を歩みました。彼は『風姿花伝』で日本写真協会新人賞を受賞し、その後も『物草拾遺』で日本写真協会年度賞、『日常の断片』で第1回東川賞国内作家賞、そして『人間の記憶』で土門拳賞を受賞するなど、国内外で高く評価された作品を数多く残しました。須田の写真集は多くの出版社から支持され、オーストリアやニューヨークでの展示も成功を収め、日本写真史における彼の重要な位置を確立しています。2019年に78歳で亡くなりましたが、彼の影響力は今もなお多くの人々に感じられています。

須田一政の写真観

須田一政は、演劇と写真という異なる芸術分野を横断し、独自のスタイルを確立しました。寺山修司との深い関係から演劇的な要素を作品に取り入れる一方で、石元康博から受けた影響により、洗練されたスナップ写真技術で日常に潜む非日常を捉えています。「Rei」の写真集では無機質なマネキンを通じて現代社会のエロティシズムを探求するなど、須田の作品には他のアーティストとの対話から生まれる、時代を超越したメッセージが込められています。

おすすめの写真集

凪の片

  • 特徴:
    『凪の片』は、日常の一瞬を切り取り、それを非日常へと昇華させる須田一政の技術が凝縮された写真集です。東京都写真美術館での大規模展覧会を記念して出版され、彼の半世紀にわたる膨大な作品群を体系的に収録しています。日本の風土や文化を独自の視点で捉えた作品は、私たちの見慣れた日本像に新たな深みを加えます。
  • 見どころ:
    この写真集は、時間を静止させたかのような「凪」の瞬間を捉えた須田一政の写真群から成り立っており、じっとりとした空気感を通じて読者を引き込みます。風景や人物、祭りや風俗など、多岐にわたる題材が綴られており、須田一政の写真を通じて、見る者自身の感性が刺激されること間違いありません。写真集 おすすめの『凪の片』をぜひ手に取り、その世界観をご堪能ください。

Rei

  • 特徴:
    写真集『Rei』は、須田一政が銀座の夜明けを舞台に、ショーウィンドウのマネキンを通じて現代のエロティシズムを探った作品です。無機質なマネキンの姿が、見る者に静かながらも強い印象を与え、従来の叙情的な美しさの中に隠された官能性を前面に押し出しています。この挑戦的なテーマは、須田の写真世界の新たな地平を開きます。
  • 見どころ:
    『Rei』の見どころは、マネキンの冷たさとそこから生まれる意外な官能性の対比です。須田一政は、ただのショーウィンドウを超え、その向こうにある人間の欲望や理想を浮き彫りにしています。これまでにないアプローチで表現されたエロティシズムは、写真集を通じて、読者自身の内なる感覚を刺激することでしょう。写真集 おすすめの『Rei』を通じて、須田一政の新境地をぜひ体験してください。

Rubber

  • 特徴:
    『Rubber』は、フェティシズムの多様性とラバー素材の質感に光を当てた須田一政の写真集です。ラバーフェチと呼ばれる独特の世界観を視覚的に探求しており、全身ラバースーツに包まれたモデルの奇妙で魅惑的な姿は、読者に新たな感覚的体験を提供します。須田の深い思索と写真に対する独自のアプローチが反映された一冊です。
  • 見どころ:
    この作品集の最大の見どころは、ラバーの光沢と形状に宿るエロティックな美しさです。ポラロイドカメラで撮影された写真は、ラバーの質感と暖かみをリアルに伝えます。読者は、須田一政が視覚を通じて感じ取ったラバーマテリアルの感触や香りを、写真から感じ取ることができるでしょう。フェティシズムを題材にした作品の中でも、『Rubber』は特に独創的な視点で制作された一冊です。

写真界への深い足跡

須田一政の貢献は写真界において顕著です。自らのギャラリー運営や「須田一政塾」での後進の育成、大阪芸術大学での教鞭を取るなど、生涯を通じて写真教育に尽力しました。デザイナーの鈴木一誌をはじめとする多くのアーティストや出版社との協力関係は、彼の作品が持つ時代を超えた影響力をさらに強化しました。没後も彼の作品は国内外で高く評価され続け、写真表現の新たな可能性を世界に示しています。

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この記事を書いた人

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